九州の最南端に位置する鹿児島県の枕崎市は、温暖な気候風土に恵まれた南薩摩地区の中核都市です。漁業と農業が盛んで、特に漁業は南方に好漁場を持ち、古くから栄えています。その活性の基地となっているのが枕崎港。昭和44年3月に特定第3種漁港指定を受け、整備が進み、水揚げ規模の大きさを支えています。
年間11万トン、110億円以上を水揚げ、かつお・まぐろ類を中心にしたかつお一本釣り漁船や海外巻網船、輸入船、あじ・さば・いわし類を中心にした県内外の大中型巻網船で、活気にあふれる港です。
中でもかつおは水揚げ金額の48%にものぼり、遠洋かつお一本釣り漁業の伝統もあって「かつおのまち枕崎」と呼ばれています。そして、枕崎はかつおのまちであるとともに、かつお節のまちでもあります。枕崎におけるかつお節の生産量は1万2千トン以上で、全国のかつお節生産量の約 4割を占めていて、全国一です。当然のごとく、かつお節メーカーも多く、港の周辺では加工する工場が集まっています。
カネゼンはこの枕崎を焼津とともに第2の拠点とすべく、平成 6年に最新の工場を建設しました。
その設備は最新にふさわしいものを備え、ゆとりある生産体制を整えています。包丁を使わない自動カッターやボイルするときに人の手作業を省いた自動釜など、できる限りのオートメーション化を実現させ、効率の良い量産システムを構築しました。最終工程の金属探知器も信頼の商品づくりに欠かせないものです。
そして、特筆すべきは焙乾スペースの広さ。4階建てを4棟備えた急造庫を持ち、焼津工場と比較してもかなりの規模です。1スペースで焙乾を行う焼津式の設備も整えており、急造庫と合わせて2タイプの伝統的な製造法で、変わらない確かな味わいを供給します。
急造庫とは堅木を焚いて、出た煙を上手く回してかつおを焙乾するものですが、それを最新設備を用いることでアレンジを加え、効率化を図っています。地下で木を焚き、煙が上に上る現象を利用し、かつお節の焙乾段階に応じて、1階、2階、3階、4階へと上げていくのがやり方。それぞれの階では煙のつき方や熱の温度が違うことを利用した直上型の方式です。棟のスペースが広く、しかも4棟を装備しており、量産のキャパシティは充分にあるといえます。
日本一のかつお漁業、最新の設備、伝統の加工法、これらが揃うことで、カネゼンの枕崎工場は20世紀の最終工場として位置づけられ、21世紀への生産ニーズに余裕を持って応えていきます。