品質を高めるには、良質の素材を使い、しっかりと管理された製造を行うことが大切です。良い素材でなければ、いくら製造面で工夫があったにせよ元の味を変えるのは不可能ですし、逆に、良い素材であっても、製造面で本来の味を引き出せなければ、質を失ってしまうからです。
そのため、カネゼンではまず良い素材を仕入れることに気を配っています。
旬のその時期に一番いいかつおを仕入れるには、いいものを見極める目は当然必要として、それ以外に地の利があります。
カネゼンの拠点は静岡県の焼津と鹿児島県の枕崎の2ヶ所。焼津漁港には年間15万トン、枕崎漁港には年間5万トンのかつおが水揚げされており、この2つの港は日本でも1、2位を競うかつお漁港として知られています。かつおが多く集まるということは、それだけ選択肢が多くなり、厳選した良質の素材が得られるわけです。
地元の優位さは輸送コストがかからず、良い素材を確実に入手できるところにあります。焼津と枕崎で水揚げされるかつおのうち、かつお節として使用するのは日本近海で春先から捕れる、いわゆる「上りがつお」と呼ばれるもの。 「戻りがつお」では脂身が多すぎて、刺身などには適しているもののかつお節には向いていません。上りがつおの中でも、大きさによって脂身が多すぎたり少なすぎたり、小さいものでは色がさめやすかったりするので3.5kgから4kgの適度な大きさを選び、均一のとれた味わいを提供できるようにしています。
品質を高めるには、良質の素材を使い、しっかりと管理された製造を行うことが大切です。良い素材でなければ、いくら製造面で工夫があったにせよ元の味を変えるのは不可能ですし、逆に、良い素材であっても、製造面で本来の味を引き出せなければ、質を失ってしまうからです。
大釜で切除したかつおをよく煮る。腐らせないために欠かせない工程 |
頭・尾を切り取り、腹肉・内臓を取り除き、測線に切り込みを入れる |
充分煮たかつおを三枚におろし、骨抜きをする |
時間をたっぷり掛けて、薪を使った蒸し上げと天日乾燥を繰り返す |
時間をたっぷり掛けて、薪を使った蒸し上げと天日乾燥を繰り返す |
かつお節づくりの工程は上図の通りで、これは今も昔も基本的に変わっていません。
この工程の中で、効率よく作業できる部分はできる限り機械化によって、効率性をよくし、手作業でなければ味が守れない部分は、例え手間であっても昔ながらに時間を掛けるのがカネゼンのやり方。
量産が求められる流通システムの中で、できるところは徹底して細心の設備を備え、省力化、そして、スピードアップを図っています。切除、煮熟、切開まではラインを組み、スムーズな流れ作業ができるよう機械作業と手作業をバランスよく取り入れ、効果的に無駄のない工程を構築。伝統の技術をそのまま残す焙乾作業に至るまでを、効率よく、的確に仕上げていきます。
かつお節製造では、味の面から全てに関しオートメーション化することはできませんが、削り節製造においては以前より合理化がかなり進んでいます。削りから乾燥、軽量、包装、仕分けまでを完全機械化しており、きっちりとした量産が可能です。変わるものと変わらないものを見極め、カネゼンの味を頑なに守りながら、効率化、合理化できるところは積極的に変えていく姿勢。
頑固でいて、柔軟性のある両極性を持つことで、時代の食に対応しています。
合理化、機械化をしようと思っても、どうしてもできない工程が焙乾です。できないというよりは、あえてやらないというべきなのかもしれません。焙乾はかつお節の味を決める重要な作業部であり、決して手を抜くことはできないものです。これをガスで即乾することは可能ですが、製品になったときの味、価値感がまったく違ってしまいます。
私たちが満足できるものでなければ、いくら効率が良く、コストが安くできようとも意味はありません。それが、カネゼンの伝統なのです。私たちがやっている焙乾は焼津式と急造庫方式を併用して、棚状になった網の上に4つ割したかつおを並べ、乾燥室の中で薪を焚き、その熱と煙を利用して乾燥させるやり方をとっています。
時間はたっぷり3週間を掛け、ゆっくりゆっくりと乾かしていくのです。
焚付ける木にしてもこだわりがあり、何でもいいというわけではありません。ほど良い煙を得るために堅木を使います。主にナラの木などですが、それは堅さに加え香りが少ないから。香りが強すぎるとかつお本来の味を消してしまうため、味に影響がなく、しかも良い煙が出る木を選らんでいるのです。
伝統の技術は煙の出し方、煙の回し方にあります。いい具合に煙を出し、乾燥室全体を回すようにするには、一朝一夕にはいきません。また、煙が出せるだけでもいけなくて、かつおのサイズや焙乾の経過によって火所の置場所を工夫する必要もある。これには、専門の技術者による、長年の経験を元にした職人的な勘が求められます。
火付けは1日8時間行われ、3週間から1ヶ月を掛けて天日干しと火付けを繰り返し、仕上げの整形工程に入ります。そして、選別を行い、箱詰めするまでに金属探知器を通して安全を確認すれば、発送。金属探知器は、防げるものは防いでいこうとの安全姿勢からのもので、最終時点での品質を保証するものです。
品質管理にも気を使っており、最終工程だけでなく、それぞれの作業においてきめ細かな点検項目を設け、徹底したチェックで安全品の提供を行っています。工程ごとの検査は無駄を省くことにもなり、効率化にもつながるため、作業スタッフへの指導も最重視する要件です。
今、カネゼンは2002年に、ISO、ハセップの認定を受けるべく、品質管理を強化しているところです。
これにより、信頼性をより確かなものとし、新しいチャレンジへのステップを目指していきたいと考えています。
現在、カネゼンではかつお節、削り節以外にも、惣菜やレトルト、冷凍食品なども取り扱っており、業界の枠を超えたところでの可能性を見つめています。 もちろんベースはかつおにこだわり、かつお関連のものはカネゼンといわれるまでになりたい。そのためにも、バリエーションをたくさん持ち、細かいニーズに応えられる商品開発を進めています。
例えば、おむすびの具となる削り節に、かつおの花を残したい、もっと水分を減らしたい。そんな声にも、きっちりとお応えできる技術があります。時流に乗ったもので、当然おいしいもの。スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの量販店向けの商品力のあるものを展開することが、これからのカネゼンの目標です。 伝統の技術と信頼のある品質管理体制をバックにした提案と機動力に、どうぞご期待ください。
新しい発想を担うのは、第2工場。ここを柱に、海の幸を原料にした積極的な動きを展開していきます。